● ○○ 第116回あすか倶楽部 定例会 ●○○

テーマ:消費者庁・消費者委員会の動きと新たな消費者団体の発足
講 師:(財)日本消費者協会 広報部部長、 ウォッチねっと事務局次長
     三浦佳子氏
日 時:2009年11月21日(土)14:00 〜 16:00
場 所:豊島区立勤労福祉会館 5F 第5、第6会議室



@消費者庁設立までの経過
・ 福田総理の時代に、「国民の安全・安心を重視する政治」への転換が表明され、消費者問題を重視する方向性が明確にされた。
・ 消費者問題調査会が設立され、中間取りまとめ、最終取りまとめを作成。
・ 福田総理、「消費者庁(仮称)の創設に向けて」を表明。
・ 麻生内閣発足、消費者庁関連3法案が閣議決定
・ 2009年9月から消費者庁がスタートした。
・ 内閣府本府に、消費者行政全般に対して監視機能を有する独立した第3者器官として、消費者委員会が設置された。現在のメンバーは10人

A消費者庁と消費者委員会の現状
・ 「消費者ホットライン」は9月スタート予定だったが、準備が間に合わず、福島県、山梨県など数県しかつながらないという不完全な状態でスタートしたことになり、国民からは苦情が来ている状態だ。全国展開の予定だが、つないでもらわなくても結構だというような県もあり、今後の進捗については不透明なところもある。
・ 電話は、市区町村または都道府県の消費生活センターにつながる仕組みになっていて、対応スタンスは、解決のための「相談や斡旋を行う」と言うことになる。
・ 所謂「高齢の社会正義のおじさん」からのご意見的なものや、いろいろな人からの「人生相談」的なものも結構多い。
・ 福島大臣は、消費者の意見を吸い上げたいとの考えである。
・ 消費者委員会は広く消費者の意見を聞くとの体制であり、どんな小さな消費者団体でも出向いて話を聞きたいというスタンスで活動している。
・ 消費者委員会の開催予定は既に決まっていて傍聴も出来るので、希望される方はネットで申し込むようにお願いする。
 
B消費者庁に期待すること
・ 消費者庁は「消費者の立場で物を言う窓口である」という立場であって、企業を罰するために活動するわけではないが、福島大臣は「疑わしきは消費者の利益」というスタンスで政治をするという姿勢を示しているので、期待している。
・ 花王の「エコナ」の問題も消費者庁の上記のようなスタンスを伝えることで会社側が動いたと思っている。
・ 「こんにゃくゼリー」が喉に詰まり死者を出している問題でも、現状では法律に規定があるわけではないので止めさせることは出来ない。このような「法律のすきま」になっている問題などを、消費者庁が権限を持って裁断を下せるような仕組みが必要ではないかと考えている。
・ 韓国には、一人でも死亡するような事例があれば、製造中止を命じるような仕組みがあるが、日本にはない。
・ 使い捨てライターを例に取ると、子供のいたずらで火事となり死者が出ているが、日本のライターは簡単に火が着く構造になっているし、中国製の3個100円というものも売られている。EUでは2ステップ操作をしないと火がつかないようになっているが、そのような規制が必要ではないかと考えている。
・ 小泉内閣の「規制緩和政策」以後、いろいろな企業が異業種に参加してきているが、安全・安心につながっていないようにも思える。
・ ホームレスなどの貧困者を対象にした「貧困ビジネス」がはびこってきたりもしているが、こういうものを取り締まるのも消費者庁の役割と考えている。

C地方の消費者行政の弱体化について
・ 地方の消費者行政は弱体化している。地デジ普及率は全国平均の60%に対し沖縄では30%にとどまっているし、北海道などでは消費者行政の手足になるべき人員がどんどん減らされていて、都会に研修に出すような教育も出来ないのが現状である。
・ 地方にはベテラン職員が新人を育てるなどという余裕はない。地方の相談員は基本的に公務員ではない人がほとんどであり、また給料にならない場面でも頑張っている人達が多い。消費者相談員の給料は低いので、収入の点からなかなか結婚できないというような現実もある。
・ 地方の消費者行政を活性化するためには、もっと消費者問題の重要性を訴える活動が必要だし、予算を取るためには消費者運動に熱心な地方議員を動かしていくことが重要であると考えている。
・ 消費者問題は消費者全員が頑張っていかないと進まない。「ご近所の一声運動」みたいなものも重要である。わずかな事柄からでも頑張っていければいいと思っている。
D新たな「消費者基本計画」に盛り込むべき施策等に関する意見募集について
・ 消費者庁と消費者委員会の発足に伴い新たな消費者行政の展開を図る上で、広く国民の皆さんの意見を聞くためにパブリックコメントを募集している。締め切りが12月2日であまり時間がないが、是非皆さんのご意見を聞かせてほしい。
・ 消費者問題を未然に防ぐことなどを重要視したいと思うが、それらの視点を含めてたくさんのご意見をいただきたい。
・ 詳細は消費者庁のHPを参照していただきたい。

E質問事項
 質問 ;「ウォッチねっと」についてどのようなものでどのような活動をしているか教えてほしい。
 回答 ;「ユニカねっと」が発展的に解散・再組織したもので、消費者庁や自治体の消費者行政を消費者の視点で監視していくことが目的。消費者団体、弁護士・司法書士の団体など22の団体(2009年9月30日現在)が加入している。今後1年間の活動目標として、1)行政機関に対する消費者被害の救済・防止のための要請活動 2)地方の消費者行政を充実強化するための提言 3)悪質業者が違法に得た利益を没収し被害者救済に役立てる「違法収益剥奪制度」の導入に向けた提言 4)行政による消費者団体への財政支援制度の確立 などをあげて取り組んでいく。
     具体的には、行政に対して「要望書」をまとめて提出する、活動内容をマスコミに紹介・報告する、大臣との懇談会を行うなどの活動を考えている。 

2.連絡事項抜粋
・今後の予定
  1月16日(土) テーマ「農業」  講師;「儲かる農業」著者 嶋崎秀樹氏  
  2月20日(土) 企画検討中 「アドバイザー活動」の発表を予定
  3月20日(土) 企画検討中 「アドバイザー活動」の発表を予定
・「あすか倶楽部10周年誌」を作りたいということで活動をしている。
  年度末を目標に作成したいが、編集メンバーが3人しかいないので、メンバーを募る。 
・「消費者関連情報 第5号」をHPにアップした。
  情報は一人で収集しているが範囲が限られる傾向なので、掲載する情報をもっと広く
  するべく、協力できる人を募りたい。
・他研究会のタイアップ講座情報
   12月19日(土) NACS  テーマ「みんなで知ろう! 暮らしの中の規格」

                                         以上


                 議事録作成; 志賀忠次郎 (作成日2009年11月24日)