1.開会挨拶
NPO法人あすかエネルギーフォーラム
理事長 秋庭悦子 氏
2.セッション1 概要説明
「電気の終着駅はどこ?」
〜電気リサイクルやごみについて考えてみませんか〜
東京大学大学院 工学系研究科原子力国際専攻
教授 長崎晋也 氏
・世界は激しい「資源獲得競争」の時代へ。中国は石油の輸出国から輸入国に
・オイルショック以降、原子力等の非石油に電源構成をシフト。
・原子力(現在55基)の全てを新エネルギー(太陽光や風力など)に代替するのは、設置面積などの関係から非現実的。
・原子炉(軽水炉)の使用済燃料の3-5%が高レベル放射性廃棄物となる。残りは燃料として再利用(プルサーマル)。
・高レベル放射性廃棄物(液体)の処理→ガラスと混ぜてガラス固化体にする
・ガラス固化体が燃料の製造に必要なウラン鉱石が持つ放射能と同じレベルになるまでに数万年程度という時間を要する。→数万年以上という長い期間を考慮した対策が必要
・将来10万年程度であれば、天然現象の活動様式とその影響範囲と程度は高い精度で予測できる→ガラス固化体を地下300m以深に地層処分(どこでおもいいという訳ではない)
3.セッション2 全体ディスカッション
グループに分かれて、疑問点を整理。長崎教授、原子力環境整備機構(NUMO※1)にご回答をいただく。
<主な質疑>
・長期的な放射性廃棄物の処分量について
高レベル放射性廃棄物のとして扱わなければならないものは原子力発電所全体からみると少なく、大部分は産業廃棄物として扱える。
・固化体するまでの輸送方法
輸送方法はそれぞれの国で決められており、今まで1回もトラブルはない
・日本が排出した固化体の行方について
現状はイギリスとフランスにある。六ヶ所村の地層処分場が今後稼動を予定している。
・ウランの埋蔵量は85年とあり石油と同様に枯渇するのでは?
高速炉サイクルの実用化による燃料の再利用により耐用年数は2千〜3千年になると算定されている。
・地層処分場の応募状況について
現在はない。
※1 高レベル放射性物質等を地層処分するために法律によって設立された事業体
4.ふりかえり・わかちあい
・原子力アレルギーの日本人にとって、今回の地層処分の安全評価や解析の理解活動は必要不可欠。あすかエネルギーフォーラム様におかれましては地道な理解活動を行っていただきたい。
・今回学んだことは非常に貴重なことだった。小学生から老人まで理解できるような情報提供の仕方を考えていただきたい。
・日本における原子力発電から廃棄物処理・リサイクルは高い技術のもと推進されていることがわかった。今後は国際的な安全基準と監視体制の確立を望む。
感想
原子力発電の理解を深めることができ、非常に貴重な体験となった。なお、数億年前のアフリカで天然の原子炉が存在したとのことが判明しているとのことだが、非常に驚いた。温暖化などの問題はあるものの、有史以前と比較すると今は安定した環境の中で暮らしているのだと思う。今後、人間がこのバランスを崩さないことを願う。
報告者 27期 多川 聡